
SaaS企業を中心に日本企業でも新しい営業手法として「インサイドセールス」が注目されております。特にコロナウイルスの流行によって、リモートワークやオンライン会議など在宅勤務が推進されている中で、インサイドセールスのニーズは増しつつあります。
この記事では、インサイドセールスの業務内容について説明します。また、フィールドセールスとの違いについても触れて解説しています。
これからインサイドセールスとして働きたい人や、インサイドセールスにはどのような人が向いているのかを知りたい人は是非最後までご覧下さい。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、会社外に出ることなく、内勤で営業を行う職種を指します。
皆さんが「営業」と聞くと、対面で営業を行うフィールドセールス(訪問型営業)を思い浮かべると思います。一方、インサイドセールスは、お客様との会話やコミュニケーションを内勤型で済ませることができることが特徴です。直接訪問するのではなく、Zoomなどのオンラインツールなどを駆使して営業活動を行うのが特徴です。
インサイドセールスは、昨今コロナウイルスの蔓延によるリモートワークの普及や、社会の働き方の変化要請を受けて、日本でも拡充されており、導入のハードルも下がってきています。
また、日本では労働人口も減少してきておりますので、移動時間の節約や場所を問わない商談など、労働生産性の向上の観点からも、効率の良い営業活動を推進するために導入する企業も増加中なのです。
インサイドセールスの業務内容は?
ここからは、インサイドセールスの主な業務内容を3つ紹介します。
インサイドセールスの主な業務は以下の3つです。
- アンケートやデータベース情報をもとに新規見込み客の選定を行う
- 訪問せずに、見込み客とコミュニケーションを図る
- 見込み客とのコミュニケーション結果を記録として残し、システムに反映させる
アンケートやデータベース情報をもとに新規見込み客の選定を行う
インサイドセールスの本質は「顧客データベースと分析にあり」と言われています。データを分析する業務はインサイドセールスにとって、貴重な新規見込み客を醸成する手段です。
インサイドセールスとしてデータ分析を行うためにはそれなりのデータ量が必要になるので、分析を強化するまで、それなりの日数がかかってしまいます。
しかし、例えば顧客リストの中から、優先度の高い見込み客を選定して効率良く営業活動を行うことができれば、効率的な営業活動が可能となるわけです。
そのためには、データを分析をしっかりと行い、顧客を優先度の高さで分類することが必要です。
例えば、以下のような観点で顧客の分類を行います。
- 事前調査やアプローチの初期段階での製品やサービスについてのニーズの有無
- 電話やメールなど非対面で見込み客とコミュニケーションをとる
- 抱えている課題に対して解決を求めるスピードや重要度
また会話の中で既に他社の競合製品を使用していて、購入の意図が見られる顧客や購入期限の決まっている顧客など、優先度を高くして、効率良くアプローチを行うために分類します。
このような形で蓄積されたデータや情報の中から如何に効率よく成果を出すことができるかといった分析を行うこともインサイドセールスの1つの業務です。
電話やメールなど非対面で見込み客とコミュニケーションをとる
インサイドセールスは、内勤型であり顧客と顔を合わせて直接コミュニケーションを取る機会はほとんどありません。電話やメールなどのツールを駆使して、非対面でコミュニケーションを取ります。
インサイドセールスの最大のメリットは、移動時間の削減とコミュニケーション数の増加です。
従来の訪問型営業は顧客とアポイントが取れると、顧客先まで会話のために移動する時間が必要でしたが、インサイドセールスは必要ないので、商談やコミュニケーションに直接的に繋がらない時間を無くすことができます。
また、無駄な時間を無くすことでより多くの見込み客とコミュニケーションが取れることもインサイドセールスの特徴です。
見込み客とのコミュニケーション結果を記録として残し、システムに反映させる
顧客とのコミュニケーション内容について記録してシステムに反映することもインサイドセールスの役割です。
フィールドセールスでは、顧客との会話や好みなどは、担当の営業マンだけが知っていることが多かったです。もちろん営業の引き継ぎ時には、顧客情報をある程度引き継ぎますが、全ての顧客情報を引き継ぐことは困難です。
インサイドセールスでは、顧客情報を会社のシステムに記録することで、どの営業マンでもその顧客情報を取得することができ、提案に活かすことができるのです。
つまり、顧客情報を属人的な情報とせず、会社のシステムに標準化して誰もが情報を閲覧できるようにすることで効率的な営業活動ができるのです。
インサイドセールスを行うメリットは?
ここからは、従来の営業手法と比べて、インサイドセールスにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
インサイドセールスのメリットは以下の4つです。
- 【インサイドセールスのメリット1】短時間で多くの企業に営業できる
- 【インサイドセールスのメリット2】新人でも即戦力になりやすい
- 【インサイドセールスのメリット3】高速でPDCAを回して成長できる
- 【インサイドセールスのメリット4】場所に捉われない働き方ができる
短時間で多くの企業に営業できる
インサイドセールスは内勤のため、移動時間がかかりません。
また、遠方に会社がある顧客に対しても、オンラインでコミュニケーションを取ることができます。
例えば、都心にある会社が地方の顧客に営業する場合、フィールドセールスだと商談のためだけに移動時間が数時間もかかってしまいます。渋滞や、乗り間違えなどで次のアポイントに間に合わないといった予想外のアクシデントに陥る可能性もあります。
インサイドセールスでは、従来かかっていた移動時間も商談のための時間に割くことが可能なので、多くの企業に営業を行うことができます。
新人でも即戦力になりやすい
またインサイドセールスでは業務を標準化できるので、新人も即戦力になりやすいです。
インサイドセールスは顧客情報がシステムに記録されていて、業務も標準化されているので、営業活動の属人化を防ぐことができます。
フィールドセールスでは直接面談して顧客と関係構築を行う必要があり、話術などの個人スキルが重要視されていました。
対面営業のスキルは多数の営業経験を積まないと培われないスキルなので、新人がすぐに先輩のように業務を行うことは困難でした。
インサイドセールスでは、標準化された業務を新人に教育するだけで業務遂行ができるので、育成時間を短縮化することができ、新人の即戦力化が可能となります。
高速でPDCAを回して成長できる
インサイドセールス業務は「リストの作成」、「顧客への電話」、「メール送信」、「活動履歴の入力」など、様々な業務を1人でこなしていきます。
短期間で複数の顧客にアプローチができ、反応率などの数値も可視化されるため、PDCAサイクルを回して、自己成長に繋げることができます。
例えば、見込み客へのアプローチの際にもメールを一度に大量に送付して、返信率を確認した後、ターゲッティングを精査したり、次のアクションプランに繋がる改善を行うようなサイクルを何度も回すことで、成約率を高めることも可能です。
このサイクルのスピードから、作業を効率的にかつ質を担保しながら業務を行えるため成長スピードも早くなります。
場所に捉われない働き方ができる
営業を行うために必要な場所やツールは、メールや電話といったコミュニケーションツールのみなので、場所に囚われずに勤務することが可能です。
資料もすべて電子化してやりとりできるため、上司に資料確認を依頼する際も出社の必要がありません。インサイドセールスは出社の必要性が低いため、在宅ワークをしたい人におすすめの職種です。
インサイドセールスが向いている人の特徴は?
インサイドセールスは一般的な営業業務から顧客訪問と受注処理を除外した業務内容です。また、ただテレアポからアポイント獲得件数が成果となるフィールドセールスの評価指標と比べて、如何に契約可能性の高い顧客を醸成できるかが、インサイドセールスの評価に直結します。
直接合わない中で、顧客とリレーション構築を行い、商品やサービスの魅力を伝えることは難易度の高い業務です。
しかし、比較的新しい営業手法であり、しっかりとキャリアを積めば、フィールドセールスよりも将来大活躍できる可能性を秘めています。
そこで、インサイドセールスが向いている人はどのような人なのかを解説します。
インサイドセールスに向いている人の特徴は以下の5つです。
- 【インサイドセールスが向いている人の特徴1】分析が得意
- 【インサイドセールスが向いている人の特徴2】コツコツと作業を継続できる
- 【インサイドセールスが向いている人の特徴3】マルチタスクが得意
- 【インサイドセールスが向いている人の特徴4】非対面でのコミュニケーションが円滑にできる
- 【インサイドセールスが向いている人の特徴5】チャレンジ精神が豊富で成長意欲のある人
分析が得意
インサイドセールスでは、チームで取得した「データ」を部門を超えて全社的に共有する必要があり、情報管理能力とデータ分析能力が必要とされます。
日々PDCAを回す業務なので、日々のデータの変化を注視して、傾向や対策を考案できる人材がインサイドセールスに向いているのではないでしょうか。
特に実際のアクションプランが失敗した際に、何が原因で失敗してしまったのかを考え、次に繋げることも重要になってきます。
目標達成のために計画をたて、数字を見ながら改善実行することができる人材がインサイドセールスに向いているといえます。
コツコツと作業を継続できる
インサイドセールスは効率良く営業活動が行うことができて、移動時間もなくなるので、よりアプローチ件数を増やすことができます。
しかし、顧客は見込み客であり、かつ契約する可能性の高い顧客をフィールドセールスにトスアップする必要があるので、継続してアプローチを重ねる必要があります。
その中で、全ての顧客が商品やサービスに対し高い関心を示すというわけではないです。また適宜確度を慎重に判断しながら営業活動を行うのでストレスも溜まるでしょう。
また非対面で営業しているので関係構築も希薄なことから、時には突然進んでいた案件が止まってしまうといったケースもあります。
そこで上手く行かない状態でも継続して地道にアプローチをかけることができる人材が向いているでしょう。
マルチタスクが得意
インサイドセールスは複数の作業を同時並行、かつ短期間で進捗把握しながらバランス良く同時進行させる能力を持った人が向いています。
インサイドセールスの業務では、「リストの作成」「顧客への電話」「メール送信」「活動履歴の入力」など、多岐に渡る業務をこなしていきます。また顧客対応数も複数にまたがることから、定められた期限の中で、優先順位を決めて1個1個の仕事のマイルストーンを設定して、段取りを決めて取り組んでいくことが必要となってきます。
短時間ごとにタスクを切り替えることが苦手であり、一つのタスクに時間をかけすぎてしまう人は、インサイドセールスの業務を並行して同時進行することは難しいかもしれません。
一方で、常に複数のタスクが回っていても対応できる人はインサイドセールスに向いていると言えるでしょう。
非対面でのコミュニケーションが円滑にできる
インサイドセールスでは、電話やメールなどの非対面コミュニケーションを上手く活用して円滑に関係構築できる人が向いています。
直接会う時は緊張せずに会話することができるが、オンラインや電話などで会話する際にはなぜか緊張してしまうこともありますよね。
インサイドセールスでは、非対面コミュニケーションを通じて、長期的に信頼関係を積み重ねる必要があります。
また電話やメール、DMなどを送った際に、相手に好印象をもってもらい、引き続き話を聞いてもらえるような能力が必要になってきます。仮に、話すことが得意であっても、メール文面がわかりづらかったり、文章構成が変、誤字や脱字が多いなどあれば、顧客の信頼を失墜しかねない事態になります。
特にインサイドセールスは、顔が見えない相手に対しても心地よく会話をすることができる人材が適任です。
チャレンジ精神が豊富で成長意欲のある人
インサイドセールスはアプローチ件数も多いですが、失敗する件数も多いので、失敗する度に挫けずに、前向きにチャレンジする精神を持った人材が向いています。
非対面のコミュニケーションから顧客と信頼関係を構築して、フィールドセールスにトスアップする必要がありますので、簡単に成功する業務ではありません。その中で、自分自身でPDCAを回していきながら、次の行動にすぐに移ることが必要です。
実際に非対面のコミュニケーションでは、顧客は対面営業よりも、断りやすい環境と言われているので、電話を無視されてしまったり、アポイントを突然キャンセルされてしまうといったことも多いようです。
その中で、失敗したから落ち込むのではなく反省点を生かしながら、次の行動にすぐに繋げることができるような人材がインサイドセールスに向いているでしょう。
インサイドセールスが向いている人が持っているスキル・能力は?
インサイドセールスには向いている特徴があるため、業務内容とともに「向き・不向き」があることを理解する必要があります。
その中で、実際にインサイドセールスに適任と言われた人材が具体的にどのようなスキルや能力を持っていて、日々業務を遂行しているのでしょうか。
インサイドセールスが持っているスキル・能力は以下になります。
- コミュが高い人
- 几帳面な人
- 論理的思考能力がある人
- 前向きでチャレンジ精神がある人
- 仕事のスピードが速い人
インサイドセールスは、効率的な営業手法であるがゆえに、たくさんアプローチを重ねる必要があるため、日々の失敗を気にせず前向きにチャレンジできる人が多いようですね。
一方で、ただ闇雲にアプローチするだけではなく、社内システムに保持されたデータを分析して確度の高い顧客を優先的にアプローチできる論理的思考力を持っている人材、また非対面でも通用するコミュニケーションスキルが高いことも求められるでしょう。
複数の案件を同時進行させるために、案件を個別に慎重に管理する几帳面さも求められる一方で、複数の業務を同時行うために一つの仕事を完遂させるスピードを早める能力も必要なのではないでしょうか。
まとめ:インサイドセールスを極めて市場価値の高い人材を目指そう
この記事では、近年ニーズが高まっているインサイドセールスの業務内容やメリットを中心に解説してきました。
インサイドセールスは、外出できないコロナ禍において重要性が高まっており、。極めれば市場価値の高い人材になることも可能でしょう。
一方で従来の営業とは適性が異なるので、営業が得意な人全てがインサイドセールスに適任というわけではありません。
地道に継続してタスク管理やデータ分析を行いながらチャレンジしていける人は、是非インサイドセールスとして働いて市場価値を高めていきましょう。

